光のもとでⅠ
 しかも、ほかの人は傷つけたくないけど、俺にはなんでも言えるから、って八つ当たり的アイテムとしてだったはず。
 今は――。
『あんた変に律儀なのね……』
 簾条がため息をついた。
『今、翠葉が藤宮司を好きだって言ったらあんたどうするの?』
 今――?
 もし、翠が俺を好きだと言ったら……。
 そんなこと、考えもしなかった。
 考えたところでうまく呑み込めもしない。
 それが現実に起きたことじゃないからなのか、何かほかの要因が邪魔をしているのか……。
< 2,435 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop