光のもとでⅠ
『でも、あんたはもっと自分本位になってもいいと思うわ。他人のこと優先しすぎると幸せ逃がすわよ?』
 珍しい、簾条が俺を擁護するような言葉を口にするなんて。
『ちょっと、電話なんだから何か喋りなさいよねっ!?』
 くっ……これはさっき俺が翠に言った言葉だ。
『何笑ってるのよっ』
「悪い」
 言いながらも笑いは止まらなかった。
『藤宮司が笑ってるとか気味が悪いんだけど』
 真面目に嫌そうな声が聞こえてくる。
 簾条のこんな態度に救われる日が来るとは思いもしなかった。
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