光のもとでⅠ
 寝たまま、というのは気が引けたので、コントローラーに手を伸ばしベッドを起こした。
「先日はお電話で失礼しました。御園生翠葉です」
「おう、躾の行き届いた嬢ちゃんだな。どっかの姫とは違うな?」
 そう言っては湊先生を振り返る。
 湊先生が反撃しようとしたとき、大あくびをしながら昇さんが病室に入ってきた。
「相馬~……着いたら連絡入れろって言ったろ?」
「久しぶりだな、相棒」
 相馬先生は昇さんと同じくらいの背の高さで、昇さんよりは若干細い。
 細い、というよりは、昇さんほど身体を鍛えていなさそうな普通の体型。
「昇っ、聞いてないっっっ」
「あれ? 言ってなかったかぁ?」
 昇さんに噛み付く湊先生を面白そうに眺めながら、相馬先生はベッド脇のスツールに腰掛けた。
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