光のもとでⅠ
「静さん、バカって言われた……」
「そうだね。あとで機嫌を取らないといけないな」
 静さんはどこまでもおおらかに話す。
 これは本当のお話……?
 不思議に思っていると、
「嬢ちゃんは素直だな? 顔中にクエスチョンマークがついてるぜ?」
 相馬先生は相変わらず面白そうな顔で私を見ていた。
「だって……びっくりしたんです」
「そうさなぁ……昔話をひとつしてやろう」
 相馬先生は悪人面で面白そうに口もとだけを緩めた。
「俺が日本にいたときにお姫さんを見初めたわけさ。口説き始めて一週間だったか?」
 相馬先生は一度静さんを見やり、
「国外追放されてアメリカに飛ばされましたとさ」
 ひどく現実味のないことを言葉少なで終わらせる。
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