光のもとでⅠ
「まさか桜森に会うとはな」
「今は藤原よ」
「結婚したのか?」
「まさか、養子よ」
「……大学出てから養子ってありえなくね?」
「人には人の事情があるの。それより、相変わらず趣味の悪いシャツね」
 展開される相馬先生と藤原さんの会話に付いていけない。
「ふたりとも知り合いなのか?」
 昇さんが訊くと、
「知り合いも何も、大学で同期だぜ?」
「どうしたことか、こんなふざけた人間でも私と同じ大学を卒業できちゃうから不思議よね」
 話は噛み合っているものの、同調しているようには見えない。
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