光のもとでⅠ
「ツカサと佐野くん……」
 勝ち進めば連日試合となるのだろう。
 蒼兄のインターハイのときは毎日見にいっていたわけではなく、決勝戦だけを見にいった。
 だから、そこまでの過酷な過程は目にしていないけど、幼いながらに場の張り詰めた緊張を肌で感じ、ゾクリとした記憶はある。
 試合に出ている人性質はその渦中にいるわけで、いったいどれほどのプレッシャーと闘っているのかを考えるだけでも身が震える思いがした。
 たくさんの人を勝ち抜いて得た切符。
 そこにはたくさんの人の思いが、期待が膨れ上がって圧し掛かっているのだろう。
 私は――。
 私はただ、自分の身体と闘うだけで、誰かの期待があるわけでも重圧があるわけでもない。
 がんばっている、という言葉は同じでも、意味合いは全然違うものに思えた。
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