光のもとでⅠ
 ――違う、そこにツカサと藤宮秋斗さんという人も加わるのだ。
「克服した」と思える程度には、私はふたりに気を許していたのかもしれない。
 どうしてそんな人たちを忘れなくちゃいけなかったんだろう……。
 考えはいつもそこにたどり着き、堂々巡りが始まる。
 こうなると延々とループするばかりで負のスパイラルへようこそ状態。
「……寝よう」
 藤原さんに言われたとおり、寝てしまおう。
 痛みはあるけどまだ大丈夫……。
 このくらいならきっと眠れる。
 むしろ、思考のひとり歩きが邪魔して眠れないことのほうがあり得そうで怖い。
「寝るっ。寝るんだからっ」
 羊でも数えようかな、と思えば、私はやっぱり携帯を耳に当てるのだ。
 ツカサの声を聞くために――。
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