光のもとでⅠ
「で? 痛みはどのくらい?」
「え……?」
「目、覚ます少し前から眉間にしわが寄ってたし、奥歯に力入れてるのわかってた」
「……まいったな。唯兄は本当になんでもお見通しで困っちゃう」
「えっへん! リィ観察魔と呼んでくれたまえ」
「唯兄、今日はなんだかテンションが高くないですか?」
「んー、一日一膳したからかな?」
 何それ……。
 腕組をして天井を見上げている唯兄に視線を投げると、
「幸倉の駅で人助けしてきた」
「……蒼兄たちと一緒じゃなかったの?」
「俺は午後一で本社で打ち合わせがあったから、蔵元さんのとこに寄ってから来た」
 なるほど……。
 こういう話をすると、唯兄が社会人であることを再認識する。
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