光のもとでⅠ
『え……?』
 蔵元さんの向こう側で藤宮秋斗さんが顔を上げた。
 ……楓先生に似てる。
 藤宮秋斗さんは表情を固まらせ、すぐに資料へと視線を落とした。
『翠葉お嬢様にお見せするのか?』
 そう訊いたのは蔵元さん。
『うん、知ってるはずなのに知らない人がいるのは気持ちが悪いって気になってるみたいだから』
『そうか……。秋斗様、何か仰られてはいかがですか?』
 蔵元さんがとても丁寧な言葉遣いで藤宮秋斗さんに声をかけた。
 そういえば……藤宮秋斗さんのほうが上司なんだっけ。
『いや――』
 藤宮秋斗さんは少し黙り、カメラのレンズを見据えたときには、「そのうちお見舞いに行くからね」と寂しそうな笑顔で口にした。
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