光のもとでⅠ
 そしてすぐに席を立ち、
『俺は奥で仕事してるから』
 と、フレームアウトする。
『あーぁ、行っちゃった』
『唯は急すぎるんだ、ばか者っ』
 蔵元さんのスーツが画面いっぱいに映ったかと思えば、画面がぐらりと揺れた。
「痛っ」と唯兄の声が聞こえる。
「あ、このときゲンコツが降ってきたの」
 唯兄が説明をしてくれる。
『じゃぁさ、蔵元さんも何かメッセージっ!』
 懲りない人、というのはこういうことを言うのだろうか。
『俺、お嬢様にお会いしたの数回だし、まともに話したことなんて数え切れるぐらいだけど!?』
 妙に慌てている様から、それが本当なのだろうと思う。
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