光のもとでⅠ
『……まずは自己紹介からでしょうか』
 カメラを向いては口調が改まる。
 きっとその様子を見て、だろう。
 唯兄のクスクスと笑う声まで入っていた。
『蔵元森です。藤宮警備システム開発第一課所属、秋斗様の秘書を務めております。翠葉お嬢様とは何度かお会いした程度で、込み入った話などはしたことがございません。……早く退院できるとよろしいですね。お嬢様がリメラルドとしてご活躍される際には、第一課の三人も警護につくことになりますので、お顔見知りくださいますようお願い申し上げます』
 深々と腰を折られて、動画を見ているだけなのに、あわあわしてしまう。
『蔵元さーん、リィは十七歳なんだけど……。そんな堅っ苦しい文章並べてどうすんの?』
 うわ……。
 唯兄、蔵元さんが藤宮秋斗さんに接する態度と雲泥の差だよっ!?
 それで大丈夫なのっ!?
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