光のもとでⅠ
「どうして爪楊枝……?」
「それで手をツンツンしてみ」
 言われて、そのとおりにツンツンしてみる。
 ちょっとチクチクするくらいで飛び上がるほどの刺激ではない。
「鍼ってのは、嬢ちゃんの髪の毛くらいの太さだ。これな」
 と、カートから一本の鍼を手に持ち見せてくれた。
「爪楊枝よりも痛くない」
 そうは言われても不安がなくなるわけではない。
「……それを何センチくらい刺すんですか?」
「ブロックよりも全然浅い。最初は一ミリか二ミリから始めるから怖がらなくていい。目に見える場所に刺してみるか?」
 私は少し考えてから慎重にコクリと頷いた。
「じゃ、手ぇ出せ」
 言われたとおりに手を出すと、
「ここは合谷(ごうこく)ってツボだ」
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