光のもとでⅠ
「翠葉ちゃんは感覚で人を見分けたりするけれど、ちゃんとその人の本質を見ようとするよね」
 感覚と本質……?
「つまり、第一印象とそのあとの、人の言動や行動ってところかな? それはものすごく大切なことだと思うんだ。第一印象で人を避けちゃう人はさ、食わず嫌いと同じでしょ?」
 そんなふうにたとえられて、ようやく意味を理解する。
「先生、でもね……」
 これは白状しないとだめだと思うの。
 楓先生は「ん?」って顔をして私を見ていた。
「主治医で治療してくれる人じゃなかったら、できる限り近寄りたくない人だったかも……」
「翠葉ちゃん、正直すぎ」
 楓先生はくつくつと笑いながらベッドに突っ伏した。
 楓先生の背中を見つつ、ひどいなぁ、と思う。
 でも、この場合ひどいのは自分だったかもしれない。
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