光のもとでⅠ
「ごめんね。なんだか、桃華さんに自分から電話したことないなって思ったら少し緊張しちゃったの」
 苦笑いでごまかすと、「まったく……」と呆れたような声が返された。
『身体の調子はどうなの?』
「大丈夫。今日、新しい先生がいらしたの」
『蒼樹さんから聞いたわ。なんでも、ものすごく目つきの悪い人とか……』
 あ、蒼兄もそう思ったんだ。
 肩に入った力が自然と抜けた。
「見た目はすごく怖そうな人なんだけど――」
『おまけに口も悪いって言ってたかしら?』
「でもねでもねっ、見かけも口調も怖い人なんだけど、優しい人かもしれないって思ったのっ」
『……ふーん。翠葉がそう思うならそうなんじゃない?』
「え……?」
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