光のもとでⅠ
 廊下に響くキャスターの音を聞きながら歩いていると、ナースセンターで相馬先生がカルテに突っ伏して寝ているのを見つけた。
 でも、今日帰国したばかりなのだ。
 時差の関係もあるだろうし、疲れているのだろう。
 病室に戻ってブランケットを取ってくると、ナースセンターの中へそっと足を進める。
 点滴スタンドのキャスターは相変わらずカラコロと音を立てていて、先生が起きてしまうんじゃないかとハラハラする。
 近くまで寄ってブランケットをかけると、結局は起こしてしまった。
 落胆している私に、腕時計で時間を確認した先生が、
「おい、ブランケットかけてる場合じゃねぇだろ。ヤクの時間だろ? 寝かせてねぇでとっとと起こしやがれ」
 逆に怒られてしまった。
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