光のもとでⅠ
「鍼の治療のときにはこういった服装がいいんですって。鍼は背中や胸、お腹にも刺すから普通のパジャマだと全部脱ぐようだから、って。一応気を遣ってくれてるみたいよ?」
「おいおい、そりゃないだろ。一応どころかめちゃくちゃ気ぃ遣ってんだろ?」
「きゃあああっっっ」
 私は絶句し、栞さんが絶叫した。
「おぉ、悪ぃ」
「気を遣っているのなら、病室に入るときはノックくらいしてくださいっ」
 ドアの方を睨む栞さんを傍目に、慣れない服を慌てて着る。
 かぶりものだけれど、背中側がマジックテープということもあり、前開きルームウェアの後ろ開きバージョンみたい。
 下は膝丈までの締め付けのないパンツだった。
 色は少し濃いピンクで、変な服装だけどかわいく見えなくもない。
「そろそろいいかー?」
 廊下から声がして、「大丈夫です」と答えた。
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