光のもとでⅠ
ハナちゃんは腰を上げると、とてとてと遠回りをしてその女の人の側に近寄り、女の人の影から私を見ている。
「ハナが吼えないとは珍しい」
長い足を組んで椅子に座っていた涼先生が口を開いた。
「あ、あの……」
「司の母、真白(ましろ)です。翠葉ちゃんのことは湊や楓からよく話を聞いているわ」
腰まである髪の毛に柔らかなウェーブをかけた女の人は、ツカサや湊先生たちのお母さんだった。
「……御園生、翠葉です」
「きれいな名前ね。さ、ハナもご挨拶して?」
真っ白なチワワに話しかけると、ハナちゃんが真白さんの影から出てきた。
しゃがみこんだ私の膝に前足をかけ、顔を近づけてきたかと思ったら、ペロリ、と唇を舐められる。
「ほう、これはまた珍しい」
涼先生は「珍しい」しか口にしない。
けれども、真白さんも「そうね」と首を傾げている。
いったい何が珍しいのだろう。
「ハナが吼えないとは珍しい」
長い足を組んで椅子に座っていた涼先生が口を開いた。
「あ、あの……」
「司の母、真白(ましろ)です。翠葉ちゃんのことは湊や楓からよく話を聞いているわ」
腰まである髪の毛に柔らかなウェーブをかけた女の人は、ツカサや湊先生たちのお母さんだった。
「……御園生、翠葉です」
「きれいな名前ね。さ、ハナもご挨拶して?」
真っ白なチワワに話しかけると、ハナちゃんが真白さんの影から出てきた。
しゃがみこんだ私の膝に前足をかけ、顔を近づけてきたかと思ったら、ペロリ、と唇を舐められる。
「ほう、これはまた珍しい」
涼先生は「珍しい」しか口にしない。
けれども、真白さんも「そうね」と首を傾げている。
いったい何が珍しいのだろう。