光のもとでⅠ
 でも、紛れもなくここは病院で……。
「夕飯はカボチャのシチューにしてみたのだけど」
 と、トレイをテーブルに置く。
「食べられそう?」
 少し前までは本当に匂いがだめで、何も食べられる気がしなかったのに、今はどうしてか大丈夫。
「法則みたいなものがあるのよ」
 栞さんが教えてくれた。
 どうやら、それは藤原さんが見つけ出してくれたものらしく、とにかく柑橘類の一切を裂ける、というものらしい。
 実際に、柑橘類に属するものは何も出てきておらず、脂っこすぎるものも出てはこない。
 そして、今日は入院してから初めてのパンが出た。
「これ、もしかして……」
「うん、家で焼いてきたパン」
 そこへ、「腹減った~……」と昇さんと相馬先生が入ってきた。
< 2,557 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop