光のもとでⅠ
「あ、ちょっと待って――」
 呼び止められたのはツカサだった。
「今、静兄様がここに向かっているみたいなの。司くんに用事があるみたいで、所在を明らかにしておくようにって」
「屋上にいると伝えてください」
「わかったわ」
 栞さんはまた受話器に向かって話し始め、私たちはナースセンターの前を通り過ぎた。
「電話で聞いて知ってはいたけど、ここまで調子がいいとは思わなかった」
 エレベーターに乗るとまじまじと見られる。
「私もびっくりしてる」
 あ、びっくりしたと言えば――。
「今日ね――」
「聞いた」
「……私、まだ何も言ってない」
「家に帰ったら母さんが嬉しそうに話してきた」
 あ、そうか……。
 私よりも先に真白さんに会っているのだ。
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