光のもとでⅠ
「……俺以外に誰もいないだろ」
「だから嬉しいっ」
 せっかくつけてくれたのだけど、もっとじっくりと見たくて外そうとした。
 でも、指先がうまく動かない。
「……外すの?」
「だって、ちゃんと見たいんだもの」
「わかった、外すから」
 また首にツカサの手が触れる。
 それがくすぐったくて、ドキドキした。
 夕焼けの名残もなくなり、薄闇色に化した空の下でよかったと思う。
「ほら」
 と、手の平に置かれたのはシルバーのチェーンに通された淡いグリーンのとんぼ玉。
 赤いお花が散っていてかわいい。
 大ぶりのとんぼ玉だから、チェーンに通すだけで十分なアクセサリーだった。
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