光のもとでⅠ
「きれい……かわいい、ありがとう」
 ツカサはぷい、と後ろを向いたかと思うと、少し離れたところにあるベンチに向かって歩きだした。
 もちろん点滴スタンドも一緒。
 だから、私もそちらへ行かなくてはいけない。
 まるでリードを付けられたペットの気分だ。
「ツカサ、まさかとは思うけど、私のことをペットみたいに扱っていたりしないよね?」
 ベンチに座り、私よりも背の低くなったツカサを見下ろすと、上を向いたツカサがニヤリ、と笑う。
「なんだ、やっと自覚したのか」
「ひどいっ! ハナちゃんはかわいいけど、私は一応人間なんだからねっ!?」
「へぇ、一応でいいんだ?」
 意地悪王子様降臨だ……。
 むぅ、とむくれていると、トントン、とツカサの横のスペースを叩かれる。
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