光のもとでⅠ
 あのツカサがあそこまで余裕をなくすなんて、きっとそのくらいに大切な人なのだろう。
 見つかったかな……。
 早く見つかるといいな。
 見つかってツカサがほっとできたらいい――。



「おーい……おまえ、またここにいたのか?」
「あ、相馬先生……」
 午前に受ける治療は受けてしまったので、何もやることがない私は携帯が使える携帯ゾーンへ来ていた。
 でも、ここへ来てもやることはとくにない。
 だからつい、ゴロン、とソファに転がっていたわけで、別に具合が悪かったわけでも本気で眠りこけていたわけでもない。
「別にいいけど、寝るなら病室に戻れ」
「あ……えと、横になって藤山を見たらどんなふうに見えるのかな、と思って……」
 苦しすぎる言い訳かな……。
 先生を見上げると、
「横になって見たところでなにが楽しいわけでもないだろ?」
 なんとなく、私が男子だったら蹴りの一発くらいもらうことになっていた気がする。
「おまえじゃなくて翠葉ですっ。昨日言ったばかりなのに……」
「そうだったか?」
 立ったまま私を見下ろしてはとぼけて見せる。
 そのとき、携帯が鳴りだした。
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