光のもとでⅠ
 この場の雰囲気に、教えてもらえないことを悟る。
 ツカサはすごくつらそうな顔をしていた。
 そんな顔をされたら断れるわけがない。
「……ツカサ? そんな顔をしなくても私は会うよ? ……大丈夫だよ?」
 ツカサは何も言わず、私と視線を合わせては下を向いたり、やっぱり落ち着きがなかった。
 さっきの柔らかいと感じた雰囲気は消えてしまった。
 感じられるのは緊張や不安――きっと、そういう感情。
「藤宮秋斗さんは怖い人というわけではないのでしょう?」
 唯兄のデジカメに録画されていた映像を見る限りでは、優しそうな人だった。
 ただ、どうしたことか、とても挙動不審に見えたけれど……。
「どうして? どうしてそんなに不安そうな顔をするの?」
 ツカサの顔を覗き込むように尋ねると、
「翠の記憶が無くなった理由が俺と秋兄にあるかもしれないから」
 私は目を瞠り、唾を飲み込む。
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