光のもとでⅠ
 ツカサ一瞬だけほっとしたような顔をしたけれども、肝心の緊張はとけていなかった。
「じゃ、これ……」
 と、長めのチェーンに通されたとんぼ玉が自分の手に戻ってきた。
 ツカサの体温がガラスに移っていてあたたかい。
 このぬくもりがずっと続いたらいいのに……。
「これね、本当に嬉しかったの……。ありがとう」
「……何度言ったら気が済むの?」
「え? わからない。……そうだな、思うたびに言うんじゃないかな」
「あぁ、そう……」
 あとは他愛のない話をしていた。
 ツカサは明後日から部活が始まるらしく、そのほかに家庭教師もあるみたい。
 私の夏休みはきっと入院で終わる。
 どこに行くでもなく、何をするでもなく、ただ治療を受けて終わるのだ。
 それでも、二学期に間に合うのかすらまだわからない。
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