光のもとでⅠ
「昇さんが言ってたのだけど、年代物の絵画を修復するのも、人を治療するのも変わらないんだって。昇さんにとっては患者さんを治すのも絵画を修復するのも、"なおす"職業として"同じ"って認識されるみたい。不思議だよね?」
 そんな話をしていると、
「そろそろ就寝時間だ」
 と、相馬先生が入ってきた。
「栞さんは……?」
 いつもなら栞さんが来るか、帰る前には顔を出してくれるのに。
「ずいぶんとふたりで話しこんでたからな。邪魔せずに帰るって、さっき昇と帰ったぞ」
「そうなんですね……。あ、相馬先生、この人が湊先生と楓先生の弟のツカサです」
「おぉ、電話の主な」
 相変わらず、人を小ばかにしたような口調で話す。
「藤宮司です。相馬さんの論文はいくつか拝読しました」
「ほぉ、英語の論文読んだのか?」
「大学一、二年で習う医療英語なら独学で終わらせてます。わからなくても辞書さえあればなんとかなるので……」
「へぇ、ずいぶんと頭の出来がいいんだな」
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