光のもとでⅠ
 だとしたら、ツカサの「会わないとだめだと思う」という言葉はとてもしっくりくる。
 会ったとして、自分が何をしたのかを思い出せるのかはわからない。
 だから、会ったとしても謝るべきことを謝ることはできないかもしれない。
 それでも、会わなくちゃいけない人なのだろうと思えた。
「……とりあえず、お風呂にしましょう?」
「はい」
「じゃ、処置に必要なものを取りにいってくるわね」
 栞さんはいつだって私のことを気にかけてくれる。
 心配というよりは後押しをしてくれる人でもあるのに、その栞さんが心配だから会わせたくないという要因はなんなのだろう……。
「きっと、これも教えてはもらえないんだろうな……」
 広すぎる病室に、私の小さな声だけが響いた。
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