光のもとでⅠ
 会うこと事体に意味があるのか、会って過去を知ることに意味があるのか。
 私にはよくわからないけれど、それでも何かしら関係がある気がした。
 秋斗さんは過去を思い返すように、少し遠くを見ながら話し始めた。
「入学式の日に、俺と司と翠葉ちゃんは出逢ったんだよ。入学式やホームルームが終わったら、図書室で待っているように蒼樹が翠葉ちゃんに言っていたんだ。君は重い荷物を持って図書室の入り口で途方に暮れていてね、そこに俺が来たんだよ。中に入ってしばらくしたら司が来た。最後には蒼樹が来て四人でお茶を飲んだ。そのときに、君の体のことを少しだけ知っているという話をした」
 まるで、何かのお話を聞いているような感覚だった。
 思い出すとか、そういう感覚とは無縁……。
 携帯にGPSを仕込まれていたとか、バングルを作るいきさつとか、そういう細かいことまですべて教えてくれた。
 それから、ブライトネスパレスへ連れて行ってもらったことも。
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