光のもとでⅠ
「ねぇ、どうしてかな? ツカサも秋斗さんもつらそうな顔をするのに、どうして話そうとするの? 私にはそれがわからない」
「……翠はさ、自分のことも起きた出来事も、急に全部忘れられたらつらいとは思わない?」
「……悲しいかもしれない」
「しかも、その記憶を無くした理由が自分にあったとしたら、つらくないわけがないだろ」
そうだった……。
ツカサはこう言ったのだ。
「翠の記憶がなくなった原因が俺と秋兄にあるかもしれないから」と。
「記憶が戻ったらツカサは嬉しい? 秋斗さんも喜ぶ? あんなつらそうな顔をしなくても済む?」
ツカサはしばらく無言だった。
「わからない……。俺は嬉しくもつらくもない。秋兄はどうかな……。翠はさ、自分のことは考えないわけ?」
「え……?」
「思い出したら自分がつらくなるかもしれないって、そういうふうには考えないわけ?」
……それは考えていなかった。
「……翠はさ、自分のことも起きた出来事も、急に全部忘れられたらつらいとは思わない?」
「……悲しいかもしれない」
「しかも、その記憶を無くした理由が自分にあったとしたら、つらくないわけがないだろ」
そうだった……。
ツカサはこう言ったのだ。
「翠の記憶がなくなった原因が俺と秋兄にあるかもしれないから」と。
「記憶が戻ったらツカサは嬉しい? 秋斗さんも喜ぶ? あんなつらそうな顔をしなくても済む?」
ツカサはしばらく無言だった。
「わからない……。俺は嬉しくもつらくもない。秋兄はどうかな……。翠はさ、自分のことは考えないわけ?」
「え……?」
「思い出したら自分がつらくなるかもしれないって、そういうふうには考えないわけ?」
……それは考えていなかった。