光のもとでⅠ
 彷徨わせていた視線をツカサに向ける。と、
「翠の選択は間違ってないと思う。でも、翠が記憶を無くしたのは、それだけ翠にとっては大きな問題で処理ができなかったからこういう事態になってる。それを踏まえたうえで聞けるわけ?」
 私が知りたいと言ったことは間違ではないのね?
 ツカサがそんなふうに言うくらい、私には大きな出来事があったのね?
「……大丈夫――」
「声、震えてるけど?」
「……ツカサ、これを聞いたら……私はツカサとも秋斗さんともお話ができなくなっちゃう?」
 ふたりを見ると、秋斗さんは「それは話してみないとわからないよ」と答え、ツカサは首を横に振った。
「秋兄、そっちじゃない。話が終わったあと、俺たちが翠から離れていかないかってことじゃない?」
 ツカサは確認のように私を見た。
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