光のもとでⅠ
 コクリと頷くと、
「それはないよ。司もだろ?」
「当たり前……。第一、過去を知ってる知らないで側にいるいないってなんだよ……。そのくらいならとっくに見放してる」
 その言葉にじわりと目に涙が浮かぶ。
「話を聞く前から泣くな」
 首を縦に振るたび、首もとに違和感を覚えるけれど、そうすることでしか答えることができなかった。
 涙、止まってよ――。
 怖くて泣いているのか、この話が終わってもふたりが離れていかないということに安堵したのか、それすらもわからなかった。
「ツカサ、お願い……そんな遠くにいないで」
「そんな遠くって……同じ室内だけど」
 そうは言いつつも、ベッドサイドまで来てくれた。
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