光のもとでⅠ
「すごく遠くに感じたの……」
「遠くないだろ、ここにいる」
 そう言うと、秋斗さんとは反対側のベッドに腰掛けた。
「手、つないでもいい?」
「……どうぞ」
 ぶっきらぼうに差し出された右手にそっと自分の手を重ねる。
 ただ、それだけで良かった。
 ちゃんとここにいるって、目で見てわかっているのに、それでもこのぬくもりが欲しかった。
 自然と涙も止まる。
「司とずいぶん仲良しだね?」
「っ……あのっ、なんていうか……精神安定剤みたいな感じで――」
 咄嗟に出た言葉だったけれど、きっと間違いではない。
 私の大切な精神安定剤。
「そっか……。なら、もう何も隠さないよ。全部話す。俺が関わっていないところは司が関わっているんだろうから、そこは司が話せばいい」
「了解」
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