光のもとでⅠ
「あのあと、私は碧に怒られただけだよ」
 え……?
 急に割り込んだ声に、三人とも病室の出入り口に目をやる。
 そこには静さんが立っていた。
 いつからいたの……?
「碧も零樹も、人のことを親友扱する割に、娘の身体のことは一切話してくれなかったからね。君が、こんなにもつらい思いを毎年していることは知らずにいたんだ」
 静さんが部屋の中へ入ってくると、
「おや、両手に花だね?」
 両手――つまり秋斗さんとツカサが花ということなのだろう。
「静さん、こんにちは……」
 回想していたこともあり、気持ちがグラグラと不安定で、声もガタガタだった。
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