光のもとでⅠ
「別にいいんじゃない? 一枚噛んでるのは間違いないし」
 静さんは、「いいかな?」と私と秋斗さんを交互に見た。
 それに、私と秋斗さんは頷くことで同意した。
 静さんが病室のソファにかけたことを合図に話の先を促された。

「家に帰ってすぐに考えたのはマンションと自宅の差。メリットとデメリット――」
「それ、普通は帰る前に考えない?」
 ツカサに突っ込まれて苦笑を返す。
「そうだよね。でも、あのときはどうしてかおうちに帰ることしか考えられなかったの」
 すると、秋斗さんが俯いたまま言葉を発した。
「そうさせたのは、俺の行動に一因があると思う」
 顔は見えない。
 でも、今秋斗さんがどんな顔をしているのかはわかる気がした。
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