光のもとでⅠ
「栞さん、心配かけてごめんなさい……。でも、きっと大丈夫。相馬先生もついていてくれるから」
 私、ちゃんと笑えたかな。
 栞さんは私を見て苦笑する。
「相馬先生、私、少し勘違いしていたみたい」
 栞さんはゆっくりと口にした。
「きっと、親が子どもに与える間違えた愛情ってこういうことをいうんでしょうね。……かわいい子には旅をさせろって、その意味が少しわかった気がします」
「そりゃ良かったな。おら、廊下で一族が待ちぼうけってのも面白すぎるから、とっとと呼んでやれや」
 相馬先生はトレイを持って栞さんと共に病室を出ていった。
 相馬先生の言ったこと、全部覚えておこう……。
< 2,681 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop