光のもとでⅠ
「ごめんなさい、それだけじゃない……。自分自身、今年のこの痛みの状態を認めたくなかったんです。全身に広がっている痛みを許容できる自信がなくて、どうなるのかわからないから人に話すことも怖くて――。薬は日に日に効かなくなっていくし、薬を静脈に注射されることが多くなれば、次に待っているのは神経ブロック。それが、すごく怖かった……」
 涙が零れ落ちる。
 あの恐怖だけは思い出すだけでも怖いのだ。
「いつもなら多くても八ヶ所。でも、今年は痛みが全身に広がっていたからもっとたくさん打たれるかと思うと怖くて――。でも、入院したくない理由は別にあって……」
 ひとつひとつ、自分の気持ちをたどる。
「病院は治すところでしょう? 私は入院しても対症療法しかできないし、それなら治してもらえる人が入るべきだと思います。今でもその考えは変わらない。治療ができない患者よりも、治療方法がある患者さんを優先するべきだと思うから。ベッドが万床で、入院待ちしている患者さんがたくさんいるって、何度かの検査入院で知ったから……。自分なんかでベッドを埋めちゃいけないと思った」
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