光のもとでⅠ
「一時間休憩を入れたあと、姉さんはきっと点滴をしたまま翠をクラスに戻すだろうと思ったから、終業チャイムが鳴る前に迎えに行った。案の定、点滴したまま戻れって言うから、そのままスタンド持って二階まで――」
「……ツカサ?」
 急に黙り込むから名前を呼んだ。
「……二階まで送ったら佐野が出てきてバトンタッチ。それだけ。あとは四限が終わったあとは簾条と俺が保健室まで送った」
 そのときは何を話したんだろう……。
「そのときはテストの話。翠はまだ全部のテストが返ってきてなかったから。保健室に行ったら碧さんがいた。適当に挨拶して――」
 またさっきのように黙ってしまう。
「ツカサ……?」
「……お礼を言われたんだ」
 ツカサは小さく口にした。
< 2,689 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop