光のもとでⅠ
「アンダンテのケーキやプリンを買ってきたから一緒に食べないか提案してみたら、若槻とふたりであっちで食べてくれって言われた。今考えれば、そうすることで君は人を遠ざけようとしていたんだね……。自分と人を守るために――でも、周りはそんなのわからないんだ」
「――誰にも側にいてほしくなかった。食べ物を食べろという人はみんな敵だと思っていたかも……。食べようとしても匂いにすら吐き気を感じていたし、何かを口にすることよりも、ただ休みたかったんです。痛みから逃れられるのは眠っているときだけだったから……」
「そうだよね……。でも、俺はそんなことも知らずにもっと踏み込んだ。天蓋越しなら手を握らせてほしいとか、髪に触れたいとか」
手がだめなら髪の毛――。
でも、秋斗さんが来てくれたとき、果たしてどのくらいお風呂に入っていなかっただろうか。
時々、唯兄が頭の地肌をタオルで拭いてはくれていたけれど、とても衛生的な状態ではなかったはず……。
「――誰にも側にいてほしくなかった。食べ物を食べろという人はみんな敵だと思っていたかも……。食べようとしても匂いにすら吐き気を感じていたし、何かを口にすることよりも、ただ休みたかったんです。痛みから逃れられるのは眠っているときだけだったから……」
「そうだよね……。でも、俺はそんなことも知らずにもっと踏み込んだ。天蓋越しなら手を握らせてほしいとか、髪に触れたいとか」
手がだめなら髪の毛――。
でも、秋斗さんが来てくれたとき、果たしてどのくらいお風呂に入っていなかっただろうか。
時々、唯兄が頭の地肌をタオルで拭いてはくれていたけれど、とても衛生的な状態ではなかったはず……。