光のもとでⅠ
「……どんな状態の君でも俺は愛していると言える。そう伝えたかったんだけどね……」
 言いながら、秋斗さんはそのあとの会話もひとつずつ丁寧に教えてくれた。
 秋斗さんがなんと口にしたのか。
 私がなんと答えたのか。
 どんな表情でいたのかもすべて――。
「俺はそこで引かなくちゃいけなかった。……でも、俺は踏み込んだ。天蓋の中へ」
 チャレンジャーだな。
 そんな状態の私に近づこうとするなんて……。
 これは私と秋斗さんの話なのに、まるで他人事のようにそう思った。
「好きな子がつらい思いをしているのなら、側にいたい。そう伝えたら、君は満面の笑みで俺を見た。心の中に入れたと思った。――そんな簡単なわけないのにね」
 私を見ている秋斗さんの瞳が揺れた。
 それは、「不安」に、だろうか。
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