光のもとでⅠ
 中間考査のあたりからずっと、自分の未来というものに関して不安を抱いている。
 その答えは今も見出せず、高校のあと、自分がどういう進路を進むのかすら定まってはいない。
 それよりも、これからの二ヶ月をどう乗り切ろうかと、それだけでいっぱいいっぱいなのだ。
「蒼兄、私、ちゃんと妹できてるかな? ちゃんと娘できてるかな? ちゃんと、友達できてるかなっ?」
「翠葉っ、しっかりしろ。どんなことがあっても、どんな状況でも翠葉は俺の妹だし、父さんたちの娘だ。ちゃんと友達できてるかなんて不安に思っていたら簾条さんや佐野くんたちが悲しむぞ!?」
「だって、わからないの。全然先のことが見えない。考えても考えても地盤すら、欠片すら見えてこない。どんどん不安になって、どんどん自信がなくなっていく」
「わかった……。一緒に考えよう。ただ、それは今じゃない。今は体調第一だ。わかるな?」
 私の顔を覗き見た蒼兄の目に揺らぎはなかった。
「……そうだよね。そうだった。……あ、今何時っ!?」
「六時半だけど……?」
 薬、薬飲まなくちゃっ――。
 手に持ったままだったバッグからピルケースと取り出すと、蒼兄がキッチンへ水を汲みに行ってくれた。
 薬を飲み終え隣にいる蒼兄に、
「蒼兄、今日だけ――今日だけでいいから一緒に寝ちゃだめ?」
「いいよ。翠葉の部屋で寝よう。別に今日だけじゃなくてもいい。不安ならいつでも側にいるから」
「……ありがとう。頼りない妹でごめん……」
「……翠葉ストップ。そんなふうに考えなくていいから」
「うん、ごめん……」
 蒼兄だけは絶対に側にいてくれる。
 それが唯一の私の支えだった――。
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