光のもとでⅠ
「どうせ、そのあたりもごっそりと抜け落ちてるんだろ?」
 ツカサの目は鋭い。
 その目を正面からとらえ、コクリと頷いた。
 ツカサが病室を出ると、昇さんだけがやってきた。
「ツカサは?」
「休憩だとよ」
 そっか……。
「司はさ、翠葉ちゃんが携帯ゾーンに着くまで廊下から目が離せなかったんだ」
 左に座る秋斗さんに言われて少し驚く。
 私が携帯ゾーンにたどり着くまで、五分近くはかかったはずだ。
「廊下にいた人みんなが見守っていたよ」
 言われて、カッ、と顔が熱くなる。
 恥ずかしかった。
 逃げだした自分のことをみんなが見ていたのかと思うと、たまらなく恥ずかしかった。
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