光のもとでⅠ
 でも、みんなが心配してくれているのはわかる。
 私という人間が、きちんとニ本の足で立つことができていたら、こんなことにはなっていないのだろうし、廊下に人が大集合ということにもならなかっただろう。
「ほれ……そうやって下ばかり向いてると首や背中に負担がかかるぞ」
 昇さんがツカサのいた場所にどかっと座った。
 ツカサは座るというよりは寄りかかっている感じで、昇さんは長い足を持て余しつつ腰掛けている。
 ツカサみたいな不安定な体重の預け方ではなく、きちんと腰掛けている分、存在感がたっぷりで、そのズシリとした重みに安堵する。
「入院したての頃って言ったか?」
 昇さんは時系列に沿って話をしてくれた。
 ほんの少し、糸口をもらえれば十分だった。
< 2,724 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop