光のもとでⅠ
 話の内容に集中できなくなるくらい、ツカサの放つ雰囲気に呑み込まれていた。
「翠葉ちゃん」
 静さんに声をかけられ、意識を話へ戻すように、と促される。
 秋斗さんを見れば、わずかに震えているように見えた。
 深く息を吸い込み、「これが俺のしたこと」と話し始める。
「君は、俺が自分を責めないでほしいと言っても絶対に聞きはしなかっただろう。なら、擁護するよりも罪を償うように駒を進めたほうがいいと思った。……言い訳にしか聞こえないと思うけど、本当に何をするつもりもなかったんだ。もう一度、自分の彼女という枠におさめ、少しでも償いの期間が取れれば翠葉ちゃんを納得させることができると思った。もし、それで嫌われることになったとしても、君が自分を責め続けて苦しむよりはいいと思った」
「だから――」と続けるその言葉の先には、想像を絶するようなやり取りがあった。
 それは「やり取り」と呼べるものではなく、秋斗さんが言う言葉に対し、私はまともな反応をひとつもできなかったに等しい。
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