光のもとでⅠ
 私はこの人を信じていたの?
 私はこの人を信じているの?
「翠葉ちゃん、少し深呼吸しようか」
 気づけば静さんが近くにいた。
「私と一緒に十階へ行ってみないかい?」
 この部屋の空気が、肌や目、何もかもに沁みて痛い。
 私は窒息しそうなこの部屋から出たいがために、静さんの申し出を受けた。
「秋斗さん、ごめんなさい……。今、何を口にしたらいいのかわからなくて……。ツカサが言ったとおり、何を聞いても思い出せなくて、現実味がなくて……」
 私は静さんの手を借りてベッドから下りた。
 病室を出たところには栞さんと湊先生に追加して、蒼兄と唯兄もいる。
 それから、昇さんと相馬先生もナースセンターの中から私を見ていた。
 きっと、病室での会話は粗方筒抜けなのだろう。
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