光のもとでⅠ
 その時点でこの会話は意味を成していないだろう。
 違うな、私がきちんと考えて答えていないだけだ。
 藤原さんがここにいたら間違いなくやり直しを申し渡される。
「ナンバーツーよぉ、大丈夫かって訊いて大丈夫じゃないって答えるヤツじゃないだろ?」
「それでも訊くのが大人だろう?」
 あぁ……本当に意味のない会話だったんだ。
「これだからフェミニストをデフォルトにしてるやつらの言うことは当てになんねぇ……。スイハ、間違ってもこんな男には惚れんなよ?」
「おや、心外だな。私はこれでも心配をしているつもりなんだが?」
「そうやって自分フォローしてるところがすでに信用ならねぇっつーんだ」
 そんな会話をしながら十階へと連れていかれる。
 十階に着くと、「久しぶり、でもないわね」と、藤原さんに声をかけられた。
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