光のもとでⅠ
「栞さん、私は大丈夫です。退院したらお料理教えてください、だから、おうちでお料理のお勉強をして?」
 そんなやり取りをしたのは昨日のお昼過ぎのこと。

 ご飯が食べ終わり、少しだけベッドを倒す。
 これから消化に血が使われ、脳貧血を起こしやすくなるから。
「さて、携帯がどうかしたか?」
 トレイを下げ戻ってきた蒼兄に訊かれる。
「蒼兄が携帯に出ないのはどんなとき?」
「……あまりそういうことはないけど……。ま、出たくないから出ないんだろうな……。故意的な場合は、だけど」
 故意的な場合――。
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