光のもとでⅠ
「よくがんばったな……」
 そう声をかけてくれたのは昇さんだった。
「痛いの、もう、やだ……」
 痛みはだいぶ引いたのに、弱音を吐くと涙も一緒に零れる。
 こんなこと口にしたくないのに、泣きたくないのに――。
「……やっと口にしたな。それが普通。誰だって痛い思いはしたくないさ。やだって泣いていいんだ。相馬に助けてくれって縋っていんだ」
「でも――相馬先生、ずっと……ずっと一緒に……」
 しゃくり上げるものが止まらず、きちんと話せない。
「一緒に、闘ってくれてたのに――私だけ、弱音……やだ」
「……いいんだよ。俺たちは医者なんだから」
 昇さんはティッシュで涙を拭ってくれた。
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