光のもとでⅠ
「少し落ち着いたらトリガーポイントブロックをしよう」
「前……昇さんが、治療、してくれてた?」
「そう……。本当はさ、その筋の専門医待ちだったんだけど、さすがにこれはひどいと相馬も判断したよ」
 話している意味がわからなかった。
「相馬は帰国前から涼さんに打診してたんだ。麻酔科医の腕利きをひとり貸してくれって。その医師のスケジュールを調整するのに時間がかかってた。俺は麻酔を扱うことができないわけじゃないが、専門医ではないから、大したスキルを持ってるわけじゃない。麻酔科っていうのはさ、かなり特殊な科なんだ。医大を出て国家試験をパスしても、二年間は麻酔科の現場指導医のもとで働かないと取れない資格ってものがある。それを取らないことには一端の麻酔科とは言えないんだ」
 麻酔科の先生って大変なのね……。
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