光のもとでⅠ

30

 やっぱり夕飯を食べることはできなかった。
 口に入れて何度咀嚼しても飲み下せないのだ。
 それでも身体のことを思えば食べないわけにもいかず、ずっと悪戦苦闘をしている。と、
「しゃぁねぇな……。ちょっと待ってろ」
 そう言って相馬先生が病室を出ていった。
 戻ってきたときには、手に小さな器を持っていた。
「白いものはあんま食わせたくねぇんだがな……」
 目の前に出されたのは、乳白色をした塊。
 その上に鰹節と少量の生姜が乗っていて、ポチ、とお醤油がかけてあった。
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