光のもとでⅠ

05

 翌朝起きると、体を起こしただけでも眩暈がした。
 やっぱりだめかな……。
 そうは思いつつも順を追って立ち上がる。
 軽い眩暈が襲うものの、そこまではひどくない。
 とりあえず朝の支度をしよう。
 外を見れば快晴。
 下に出されていた簡易ベッドはもぬけの殻で、お布団もきれいにたたまれていた。
 きっとランニングへ出かけたのだろう。
 昨夜飲んだ薬を今朝もまた飲む。
 前回はそこまではなんとかなっていて、午前授業の板書をノートに取るくらいのことくらいはできていた。
 そのあとの、お昼の薬を飲んだあとが最悪だったのだ。
 せめて午前の授業くらいは受けたい――。
 そう思いながら制服に着替え、部屋を振り返る。
 いつもと何も変わらない、私の大好きな部屋。
 けれど、今年はこの部屋を嫌いになりそう。
 本格的に痛みが出てくれば、しばらくの間はこの部屋から出られはしないだろう。
 そうなったときのことを考えるとぞっとする。
 閉所恐怖症というわけではない。ただ、病院の病室もこの部屋も、外界と絶たれてしまうような気がするのだ。
 それが嫌なんだけど、でも仕方のないことだ。
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