光のもとでⅠ
 先生は純和風なご飯を作る人だった。
 唯兄は麺類の料理が得意だったな、と思い出す。
「時間をかければ鍼とカイロだけでもなんとかなるが、スイハは学校に間に合わせたいんだろ? それなら薬を使うのが手っ取り早い」
 それがトリガーポイントブロックなのだろう。
 この治療は神経ブロックよりもはるかに楽で、自分で点滴スタンドを押して歩けるくらいには楽になれる治療だった。
「先生、その治療は嫌じゃないです。それに二学期には間に合わせなくちゃ。約束したから――」
 誰と……?
 ――ツカサだ。
 ツカサが家まで説得しに来てくれたとき、それが条件だったと先日教えてもらったばかりだった。
 どうしても、聞いた話をすんなりとは思い出せない。
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